フランス国内法では、日本のゲーム会社がフランスのゲーム会社から受け取るフランス源泉の著作権使用料は、原則として25%の源泉徴収対象です。
日仏租税条約第12条などの要件を満たす場合、フランスの源泉税は0%となる可能性があります。
実務では、Form 5000-ENとForm 5003-ENを作成し、日本の居住者証明書を添えて、フランスの支払者を通じて必要な手続を行います。
日本の税務署はForm 5000-ENの記載内容を証明しないため、税務署証明欄の取扱いと日本の居住者証明書の添付について、支払前にフランスの支払者へ確認します。
このページの目次
- 結論と源泉税0%の考え方
- 日仏租税条約を適用した場合の税率
- 源泉税0%を受けるための要件
- ゲーム配信許諾の所得区分
- 準備する書類
- Form 5000-ENの提出先と記載項目
- Form 5003-ENの提出先と記載項目
- 日本の居住者証明書の取得方法
- フランスの支払者へ提出するまでの実務手順
- フランスからの銀行送金で確認されやすい資料
- よくある誤り
- よくある質問
- 当事務所の対応サポート
日本のゲーム会社が、自社開発ゲームの著作権を保有したまま、フランスのゲームパブリッシャーにフランス国内での出版、配信その他の利用権を許諾し、その対価として著作権使用料を受け取る場合、フランスで源泉徴収されることがあります。
ただし、その支払が日仏租税条約上の「使用料」に該当し、日本法人が使用料の実質的受益者であり、フランス国内の恒久的施設に帰属する所得ではないなどの要件を満たすときは、日仏租税条約第12条により、フランスの源泉税を0%にできる可能性があります。
このページでは、日本のゲーム会社がフランスのゲーム会社へ提出するForm 5000-ENとForm 5003-ENを中心に、必要書類、居住者証明書、支払者との役割分担および提出までの実務手順を整理します。
結論:ゲーム配信許諾に係る著作権使用料は源泉税0%になり得ます
フランス国内法では、日本法人に支払うフランス源泉の著作権使用料は、原則として25%が源泉徴収の対象になります。
一方、日仏租税条約第12条の要件を満たす使用料は、フランスの源泉税が0%となり得ます。
実務では、日本法人がForm 5000-ENとForm 5003-ENの受益者・受取者欄を作成し、日本の居住者証明書、契約書および請求書などをフランスの支払者へ提供します。
フランスの支払者は、支払者欄と支払内容の表を完成させ、必要な提出先へ提出します。
ここでいう0%は、フランスでの源泉徴収税率です。
受領した使用料収入は、日本法人の日本での法人税申告に反映する必要があります。
また、契約書に「Royalty Fee」と書かれているだけで、必ず著作権使用料に該当するわけではありません。
ゲーム名、著作権者、フランス国内で許諾する権利の範囲、許諾地域、許諾期間および使用料の算定方法など、契約内容の実質を確認する必要があります。
| 所得の区分 | 条約適用前 | 条約適用後 | 主な根拠 |
| 著作権使用料 | 原則25% | 0%(免税) | 日仏租税条約 第12条 |
日仏租税条約第12条の0%を受けるための主な要件
源泉税0%は、書類を提出しなくても自動的に適用されるものではありません。
少なくとも、次の事項を確認します。
- 受取人が日仏租税条約上の日本の居住者であること
- 受取人が使用料の実質的受益者であること
- 支払の実質が、ゲームの著作権に基づく出版、配信その他の利用許諾の対価であること
- 使用料に関係する所得が、フランス国内の恒久的施設または固定的施設に帰属しないこと
- Form 5000-EN、Form 5003-ENおよび日本の居住者証明書を準備すること
- 提出時期、提出先および支払者欄の記載方法を、支払前にフランスの支払者へ確認すること
注意:契約内容、所得区分、実質的受益者、フランス国内の事業拠点の有無および支払者の社内手続によって、必要書類や取扱いが異なる場合があります。
ゲーム販売代金そのものか、著作権利用許諾の対価かは、契約書の名称ではなく、支払の実質で判定します。
日本のゲーム会社が著作権を保有したまま、フランスのゲーム会社へフランス国内で出版・配信する権利を許諾し、その利用実績や売上高などに応じて対価を受け取る場合は、著作権使用料に該当する可能性があります。
これに対し、ゲームそのものを売り切る取引または開発、移植、運営などの役務提供の対価は、著作権使用料とは異なる所得区分となる可能性があります。
契約書と請求書では、ゲーム名、著作権者、フランス国内で許諾する権利、許諾地域、許諾期間、使用料の算定方法および支払時期を具体的に記載しておくことが重要です。
日本法人は、Form 5000-ENとForm 5003-ENの受益者・受取者欄を作成し、日本の居住者証明書や取引資料とともにフランスの支払者へ提供します。
フランスの支払者は、支払者欄や支払内容の表を完成させ、必要な提出先へ提出します。
| 書類 | 日本法人の対応 | 提出・確認先 | 位置付け |
| Form 5000-EN | 受益者欄を作成し、日本の居住者証明書を添付 | フランスの支払者 | 居住者・実質的受益者等の申述 |
| Form 5003-EN | 受取者欄を作成・署名 | フランスの支払者 | 使用料の源泉税減免申請 |
| 日本の居住者証明書 | 日本の税務署へ交付請求 | Form 5000-ENに添付 | 日本の条約居住者であることの証明 |
| ゲーム配信許諾契約書の写し | ゲーム名・許諾権利・地域・期間・使用料算定を確認 | 支払者・税務当局・銀行等 | 所得区分・権利範囲の確認資料 |
| 請求書の写し | ゲーム名・契約番号・支払期間・金額を確認 | 支払者・税務当局・銀行等 | 支払内容・送金目的の確認資料 |
Form 5000-ENは誰が作成し、どこへ提出しますか
Form 5000-ENは、日仏租税条約の適用を受ける日本法人が受益者欄を作成し、フランスのゲーム会社へ送付します。
フランスの支払者は支払者欄を完成させ、Form 5003-ENその他の資料とともに必要な提出先へ提出します。
受取者がフランス税務当局へ単独で直接提出することを前提とした書類ではないため、提出時期と提出先はフランスの支払者へ確認します。
Form 5000-ENで確認する主な記載項目
通常の日本法人が、自社で保有するゲーム著作権の使用料を自己のために受領し、フランスに恒久的施設がない場合の主な確認項目です。
I)所得の種類
- 租税条約の相手国としてJapanを記載する
- 所得の種類としてRoyalties(使用料)を選択し、Form 5003-ENを添付する
II)受益者の基本情報
- 使用料の実質的受益者である日本法人の正式名称
- 日本法人の本店所在地
- 連絡用メールアドレス
III)受益者の申述
- 申請する使用料の実質的受益者であること
- 日仏租税条約上の日本の居住者であること
- 日本の法令に基づき課税対象となる法人であること
- 所得に関係する恒久的施設または固定的施設がフランス国内に存在しないこと
- 使用料収入を日本の税務当局へ申告済み、または申告予定であること
- 国名、日付、場所および代表者の署名を記載すること
IV)外国税務当局の証明欄
日本の税務署は、Form 5000-ENの記載内容そのものを証明しません。
そのため、税務署証明欄は空欄とし、日本の税務署が発行する国税庁様式の居住者証明書を添付する取扱いを前提に、フランスの支払者へ事前に確認します。
法人番号を記載する場合は、日本法人の13桁の法人番号を、契約書、請求書および居住者証明書の法人名と整合させます。
Form 5003-ENは誰が作成し、どこへ提出しますか
Form 5003-ENは、使用料に対するフランス源泉税の減免申請書であり、Form 5000-ENの添付書類です。
日本法人が受取者の名称、署名等を記載し、フランスのゲーム会社が支払者情報、支払総額、支払日、源泉税額その他の支払表を完成させます。
完成した書類は、フランスの支払者が必要な提出先へ提出します。
Form 5003-ENで確認する主な記載項目
受取者・支払者の情報
- 著作権使用料を受け取る日本法人の正式名称
- フランスのゲーム会社の名称および所在地
- 支払対象となる財産または権利の具体的な内容
権利内容は、たとえば「ビデオゲームをフランス国内で出版・配信する権利の許諾に係る著作権使用料」のように、ゲーム名と許諾内容が分かる表現にします。
「Royalty Fee」だけで終わらせず、契約書と一致する出版・配信権、許諾地域および対象期間を明確にします。
フランスの支払者が完成させる支払表
- 使用料の総額
- 支払日
- フランスの源泉税額
- 既に支払った金額または還付を求める金額
- 支払者の管理欄
指令2003/49/ECの欄は使用しません
日本法人はEU加盟国の会社ではないため、EU加盟国間の関連会社に適用される指令2003/49/ECのボックスIVにはチェックを記入しません。
日仏租税条約第12条に基づく源泉税0%の適用は、Form 5000-ENおよびForm 5003-ENにより申請します。
署名欄には、日付、場所、受取会社の代表者の役職・氏名を記載し、署名権限のある者が署名します。
Form 5000-EN・Form 5003-ENの役割分担
| 書類・欄 | 日本法人 | フランスの支払者 | 確認事項 |
| Form 5000-EN | 受益者欄を作成・署名 | 支払者欄を完成・提出 | 日本の居住者証明書の添付 |
| Form 5003-EN | 受取者欄を作成・署名 | 支払者情報・支払表を完成・提出 | ゲーム配信許諾の内容を具体的に記載 |
| 日本の税務署証明 | 国税庁様式の居住者証明書を取得 | Form 5000-ENと併せて確認 | Form 5000-ENの証明欄を空欄とする取扱いを事前確認 |
居住者証明書は、日本法人が日仏租税条約上の日本の居住者であることを、日本の税務署が証明する書類です。
Form 5000-ENの税務署証明欄に代えて添付するため、支払期日から逆算して余裕を持って交付請求します。
1. 国税庁の「居住者証明書交付請求書・居住者証明書(租税条約等締結国用)」を取得する
2. 法人名、代表者名、所在地、提出先国(French Republic)などを日本語と英語で記載する
3. 必要部数に1部を加えた部数を、所轄税務署の管理運営部門へ提出する
4. 代表者が請求する場合は、本人確認書類のコピーを準備する
5. 代理人が請求する場合は、代理人の本人確認書類と委任状を準備する
6. 郵送で受け取る場合は、切手を貼った返信用封筒を同封する
郵送による交付請求から証明書の入手まで約3週間を見込んでいます。
税務署や時期によって期間が異なる可能性があるため、フランスの支払期日より十分前に準備します。
1. ゲーム配信ライセンス契約書を確認し、支払が著作権使用料、ゲーム販売または役務提供のいずれに当たるかを判定する
2. フランスのゲーム会社へ、Form 5000-EN、Form 5003-EN、居住者証明書その他の必要資料と提出期限を確認する
3. Form 5000-ENの受益者欄とForm 5003-ENの受取者欄を作成する
4. 日本の所轄税務署へ居住者証明書を交付請求する
5. 契約書、請求書および法人番号など、各書類の法人名、住所、権利内容、金額および日付を照合する
6. 支払前に、作成した書類と求められた補足資料をフランスの支払者へ送付する
7. フランスの支払者に支払者欄と支払表を完成させてもらい、必要な提出先へ提出してもらう
8. 支払明細で源泉税率が0%となっているかを確認し、提出書類と判断根拠を保存する
フランスから日本へ送金が行われる場合、銀行から送金目的や取引内容を確認されることがあります。
- ゲーム配信ライセンス契約書
- 請求書
- Form 5000-ENおよびForm 5003-ENの写し
- 日本の居住者証明書
- ゲーム名、契約番号、許諾地域、支払期間、使用料の計算根拠が分かる資料
- 受取人名、住所、銀行名、支店名、SWIFT/BICコード、口座番号および通貨が分かる資料
送金目的は、たとえば「PAYMENT FOR COPYRIGHT ROYALTY – VIDEO GAME PUBLISHING AND DISTRIBUTION」のように、著作権使用料であることが分かる表現にします。
契約書、請求書、送金依頼、Form 5000-ENおよびForm 5003-ENで、法人名、住所、ゲーム名、金額、支払目的の表現をできるだけ一致させておくと、確認が円滑になります。
- 契約書に「Royalty Fee」と書かれているだけで、支払を著作権使用料と判断する
- Form 5000-ENだけを作成し、使用料用のForm 5003-ENを準備しない
- 日本の税務署へForm 5000-ENの記載内容そのものの証明を依頼する
- 日本法人であるにもかかわらず、Form 5003-ENの指令2003/49/ECのボックスIVにチェックする
- Form 5003-ENのフランス支払者欄や支払表を、日本法人だけで完成させようとする
- 契約書と請求書で、ゲーム名、著作権者、許諾権利、地域、期間および使用料の算定方法が明確になっていない
- 法人名、住所、法人番号、金額または日付が、契約書、請求書、居住者証明書および申請書で一致していない
- 支払後に書類を準備し、いったん25%を源泉徴収されてから対応する
Q1. フランスのゲーム会社から著作権使用料を受け取れば、必ず源泉税0%ですか
いいえ。
受取人が日本の居住者であること、使用料の実質的受益者であること、支払が条約上の使用料であること、フランスの恒久的施設に帰属しないことなどを確認し、必要書類を適切に準備する必要があります。
Q2. Form 5000-ENとForm 5003-ENはフランス税務当局へ日本法人が直接提出しますか
通常は、受取者である日本法人が受益者・受取者欄を作成し、フランスの支払者へ送付します。
フランスの支払者が支払者欄を完成させ、必要な提出先へ提出します。
Q3. 日本の税務署はForm 5000-ENへ署名や証明をしますか
Form 5000-ENの記載内容そのものを日本の税務署は証明しません。
税務署証明欄を空欄とし、国税庁様式の居住者証明書を添付する取扱いについて、フランスの支払者へ事前に確認します。
Q4. 日本の居住者証明書は何部提出しますか
税務署へは、必要な証明書の部数に1部を加えた部数を提出します。
フランスの支払者へ送付する通数は、取引件数、支払回数および相手先の社内手続を確認して決めます。
Q5. Form 5003-ENの指令2003/49/ECの欄にチェックしますか
チェックしません。
日本法人はEU加盟国の会社ではないため、日仏租税条約第12条に基づく申請としてForm 5000-ENとForm 5003-ENを使用します。
Q6. Form 5003-ENの支払額や源泉税額は誰が記載しますか
フランスの使用料支払者が記載し、表を完成させます。
日本法人は、契約書や請求書の金額、対象期間およびゲーム名と整合しているかを確認します。
Q7. 契約書にRoyalty Feeと書けば、著作権使用料として扱われますか
名称だけでは決まりません。
ゲーム名、著作権者、出版・配信などの許諾権利、地域、期間、算定方法および支払時期を確認し、取引の実質で判定します。
Q8. 申請は支払後でも間に合いますか
支払前に必要書類と提出期限を確認して準備することが重要です。
支払後に25%が源泉徴収された場合は、支払者やフランス側の手続により訂正・還付対応が必要となる可能性があるため、契約締結後の早い段階で準備します。
三谷豊章税理士事務所では、日本のゲーム会社がフランスのゲームパブリッシャーへゲームの出版・配信権等を許諾して受け取る著作権使用料について、契約内容と所得区分の確認、Form 5000-EN・Form 5003-ENの記載支援、居住者証明書の取得支援および支払者からの質問への対応を行っています。
詳細なForm 5000-EN・Form 5003-ENの入力例、和訳、作成手順、居住者証明書の記載例および提出書類チェックリストは、「ゲーム配信許諾に係る著作権使用料の租税条約対応ガイド【フランス編】」に収録しています。
執筆・監修
三谷 豊章(税理士・三谷豊章税理士事務所)
名古屋国税局、税務大学校名古屋研修所、各税務署において約17年間、税法の解釈・適用に関する研修業務および納税者・税理士からの税務相談対応に従事。
2024年7月に名古屋西税務署を退職し、2024年10月に三谷豊章税理士事務所を開設。
主な公的資料
最終更新日:2026年8月1日
- フランス税務当局:Form 5000-EN(英語版・公式PDF)
- フランス税務当局:Form 5003-EN(英語版・公式PDF)
- 国税庁:No.9210 居住者証明書の請求
- 国税庁:居住者証明書交付請求書・居住者証明書(租税条約等締結国用・入力用PDF)
利用上の注意
このページは、日本のゲーム会社が自社のゲーム著作権を保有したまま、フランスのゲームパブリッシャーへフランス国内での出版・配信等の権利を許諾し、著作権使用料を受け取る場合の一般的な情報を整理したものです。
契約内容、所得区分、法人形態、実質的受益者、フランスの恒久的施設の有無、フランスの税務当局・金融機関の運用および支払者の社内手続などにより取扱いは異なります。 個別案件の税務判断、フランス法上の申告・還付手続および提出先については、日本およびフランスの専門家ならびに支払者へ確認してください。
